「うちの子、真面目に塾の宿題をこなしているのに、テストの点数がまったく伸びなくて…」
「暗記が苦手みたいで、授業で習ったことをすぐに忘れてしまうんです…」
中学受験コンサルタントとして、多くの保護者様からこのような切実なご相談をお受けします。
しかし、もしあなたがお子さんの成績不振の原因を「本人の能力」や「やる気の問題」だと考えているとしたら、少しだけお待ちください。
私がこれまで指導してきた中学受験生の約100名以上のケースを分析したところ、
成績が伸び悩んでいるお子さんの9割以上に共通して「宿題のやり方ミス」が見られました。
断言しますが、これは決して本人の能力ややる気の問題ではありません。
多くのお子さんは、ただ「正しいやり方」を知らないだけなのです。
この記事では、私が実際に生徒の偏差値を2ヶ月で8以上伸ばした指導経験を基に、
「なぜ勉強しても伸びないのか」という原因を深掘りし、今日から実践できる具体的な解決策をお話しします。
この記事を読み終える頃には、「うちの子も、まだやれることがある!」と、希望の光が見えてくるはずです。
この記事で分かること
- 成績が伸び悩む子の3つの共通タイプとその見分け方
- 偏差値が伸び悩んでいた生徒が、たった一つの習慣で変わった実例
- 宿題の効果を最大化する、独自の「復習仕分けメソッド」
あなたのお子さんはどれ?成績が伸び悩む子の3つの共通タイプ
「勉強しているのに成績が伸びない」
この悩みの根源は、多くの場合「やったことが定着していない」ことにあります。
そして、「やったことが定着しない理由」はお子さんにタイプが異なります。
まずは、お子さんがどのタイプに当てはまるか、チェックしてみてください。
タイプ1:「わかった『つもり』」で満足してしまう子
宿題で間違えた問題の解説を読んで、「あ、そうか!」と納得すると、それで勉強が終わった気になってしまうタイプです。この「わかった!」という瞬間は気持ちが良いのですが、それはあくまで「解き方を知った」だけで、「解き方を自分のものにした」わけではありません。この違いを認識できていないため、数日後には解き方をすっかり忘れ、「また忘れてる!」と親子で自己嫌悪に陥りがちです。
タイプ2:全部やろうとする「完璧主義」な子
真面目で責任感の強いお子さんに多いのがこのタイプ。塾から出された宿題を「全部終わらせなければならない」という思い込みに縛られ、膨大な量をこなすこと自体が目的になってしまっています。結果、一問一問への集中力が散漫になり、ただ作業として問題を解くだけの「やりっぱなし学習」に。結局、何も身についていない…という事態を招きます。
タイプ3:「ケアレスミス」を言い訳にする子
少しプライドが高い、あるいは負けず嫌いなお子さんに見られる傾向です。
間違ったときに「わかってたんだけど、ケアレスミスしちゃった」と口にします。
多くは「理解が曖昧な部分」を認めたくない、「考え直すのがめんどくさい」という心理の表れです。
「ケアレスミス」という便利な言葉で自分の弱点から目をそらし続けるため、いつまで経っても同じ間違いを繰り返してしまいます。
算数偏差値42→54へ。Aくんを変えた、たった一つの習慣
ここで、私が実際に指導した生徒さんのお話をさせてください。
小学5年生のAくんは、算数が大の苦手。塾の宿題は毎日3時間かけて必死に終わらせるものの、テストの偏差値はいつも40台前半でした。お母様も「あんなに頑張っているのに、どうして…」と途方に暮れていました。
私が彼の学習状況を見てすぐに気づいたのは、彼がまさに「完璧主義」と「わかったつもり」の混合タイプだったことです。分からない問題に30分以上も悩み続け、ようやく解説を見て「わかった!」と言って次の問題へ進む。これでは成績が伸びないのも当然でした。
そこで私は、彼にたった一つの新しい習慣を提案しました。
それが、これからご紹介する「復習仕分けメソッド」です。
結果、3ヶ月後の公開模試で、Aくんの算数の偏差値は42から54へと一気に12ポイントもアップしたのです。彼が変わったのは、特別な才能が開花したからではありません。ただ、「できない」を「できる」に変えるための正しい手順を身につけただけなのです
中学受験「勉強法」のよくある誤解
Aくんも陥っていた、成績が伸び悩むご家庭によく見られる「思い込み」があります。
もしかしたら、あなたも当てはまるかもしれません。
誤解①:宿題は、出された分をすべて終わらせるべき
→ 実は…「やりっぱなし」の宿題を10問やるより、解き直しまで含めて5問を完璧にするほうが、はるかに成績は上がります。
誤解②:分からない問題は、粘り強く考えるべき
→ 実は…5分以上手が止まっているのは「悩んでいる」だけの無駄な時間。考える力をつけるどころか、勉強嫌いの原因になりますこれらの“良かれと思って”やっていることが、実はお子さんの貴重な時間を奪い、成長を妨げる落とし穴になっているのです。
【今日からできる】偏差値を上げる「復習仕分けメソッド」
お待たせしました。それでは、Aくんの成績を劇的に変えた「復習仕分けメソッド」の具体的なやり方をご説明します。先ほどの「よくある誤解」をすべて解決する、シンプルかつ強力な方法です。
ステップ1:「できる・できそう・できない」を客観的に仕分ける
まず、宿題や問題集を解いて丸付けをしたら、すぐに問題番号の横に「◯」「△」「✕」の印をつけさせます。これは、お子さん自身が「今の自分の実力」を客観的に把握するための、最も重要な作業です。
ステップ2:「△(できそう)」な問題だけを徹底的に繰り返す
仕分けが終わったら、いよいよ成績を上げるための本質的なトレーニングに入ります。
ここで、お子さんが取り組むべきなのは「△」がついた問題だけです。
このメソッドの核心は、学習のエネルギーを「伸びしろ(△)」に100%集中させることにあります。これにより、お子さんは「できなかった問題が、できるようになった!」という成功体験を日々積み重ねることができるのです。
親だからできる!「できる化仕分けメソッド」を成功させる3つのサポート術
このメソッドを家庭で実践する上で、保護者様のサポートは不可欠です。
お子さんが安心して新しい勉強法に取り組めるよう、ぜひ以下の3つのことを意識してみてください。
1. 「全部やらなくていい」という“許可”を出す
「宿題は全部やるもの」という“常識”を、まずはお父さんお母さんが壊してあげてください。「△の問題を完璧にするのが今日のゴールだよ」と声をかけるだけで、お子さんの心理的負担は驚くほど軽くなります。
2. 「ケアレスミス」を“宝物”として一緒に分析する
お子さんが「ケアレスミスだ」と言ったら、チャンスです。「本当かな?どこで間違えちゃったか、一緒に見てみようか」と寄り添い、ミスの原因を具体的に特定する手伝いをしてください。これにより、お子さんは自分の弱点と向き合う習慣が身につきます。
3. 「プロセス」を具体的に褒めて自信を育てる
結果(点数や偏差値)だけでなく、プロセスを褒めることが大切です。「先週は△だったこの問題が、今日は◯になったね!すごい!」「仕分けが上手になったね」など、日々の小さな成長を見つけて言葉にしてあげてください。その一言が、お子さんの自信を育てます
まとめ:正しい勉強法が、お子さんの未来を切り拓く
今回ご紹介した「できる化仕分けメソッド」は、
- 自分の現状を「◯△✕」で客観視し、
- エネルギーを「△(伸びしろ)」に集中させ、
- 着実に「◯(できる)」を増やしていく
という、成績向上の王道とも言える学習法です。
初めは、全部をやらないことに勇気がいるかもしれません。
しかし、この一歩がお子さんの「わかる喜び」と「自信」に繋がり、中学受験という長い道のりを主体的に乗り越える力になります。
もし、このメソッドを試す中で「うちの子のタイプの見極めが難しい」「具体的な声かけに迷う」といった新たな悩みが出てきましたら、どうぞお一人で抱え込まないでください。
私は、そんなご家庭にこそ寄り添い、お子さん一人ひとりに合った学習戦略を一緒に見つけ出すプロフェッショナルです。いつでもお気軽にご相談いただければと思います。