【中学受験】「集中力がない!」は親のひと言で変わる〜脳科学×声かけ習慣

2020年3月6日

「あの子、また集中力が切れてる…」
「あんなに長時間頑張っているのに、どうして成績に繋がらないのかしら…」

机に向かうお子様の背中を見ながら、歯がゆい思いをされているあなたへ。
そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

実は、集中して勉強できる子のご家庭には、ある共通点があります。
それは、一番身近なあなたが「リフレッシュ」の仕掛け人になっていることなのです。

この記事でわかること

  • なぜ「軽い運動」が子どもの集中力と記憶力を高めるのか(脳科学の視点から解説)
  • 勉強の合間に親子でできる**「5分間リフレッシュ術」の具体的な方法
  • 入試本番で緊張をほぐす「お守り」になる腹式呼吸と、子どもへの伝え方
  • 「勉強しなさい」と言わずに子どものやる気を引き出す、魔法の声かけ習慣

子供の集中力は「軽い運動」で変わる!脳科学が証明する3つの理由

「疲れているのに運動なんて…」と思われるかもしれません。
でもご安心ください。ここで言う運動とは、汗をかくようなハードなものではなく、脳を活性化させるための軽い刺激です。
これがお子様の学習効果を高めるのには、3つの科学的な理由があるのです。

理由1:「記憶の素」BDNFが増え、暗記力が向上する

軽い運動をすると「BDNF(ビーディーエヌエフ)」という、脳の神経細胞を育てる物質が分泌されます。
これは「脳の栄養」とも呼ばれ、特に記憶を司る「海馬」を元気にします。
つまり、運動という簡単な習慣が、お子様の暗記力や思考力を直接的に高めてくれるのです

「本当に?」と思われるかもしれませんが、これは新潟大学脳研究所内のコラムにも記載されており、運動が脳に良いということが科学的に証明されています。つまり、親子でできる簡単な運動が、お子様の暗記力や思考力を高める近道になるというわけです。


理由2:「やる気ホルモン」で勉強への前向きな気持ちを引き出す

反抗期にさしかかるお子様は、精神的にも不安定になりがちです。
軽い運動は、心を安定させる「セロトニン」や、やる気を引き出す「ドーパミン」の分泌を促します。
イライラが減り、「もうひと頑張りしようかな」という前向きな気持ちを、あなたが引き出してあげることができるのです。


理由3:理由3:カチコチに固まった頭をほぐし、もう一度集中できる

算数の難問で頭を抱えている時、国語の長文読解で疲れている時…。
そんな時は脳の特定の場所だけが酷使され、カチコチに固まった状態になっています。
運動で体の使い方に意識を向けると、脳の別の部分が働き出し、脳全体がリフレッシュされます。
「ちょっと体を動かしてみない?」というあなたの一言が、お子様の思考の切り替えを助けます。

勉強の合間に親子で実践!集中力を高める「5分間リフレッシュ術」3選

「勉強の合間にやりなさい」と一方的に指示するのではなく、一緒にやろう!」と誘うのが成功の秘訣です。
もちろん、思春期のお子様から「別にいい」とそっけない返事が返ってくることもあるでしょう。そんな時でも、決して焦る必要はありません。

大切なのは、まずあなた自身が「あー気持ちいい!」と楽しそうにリフレッシュを始めること。
「ママ(パパ)も肩が凝っちゃって。ちょっとだけ付き合ってくれない?」と頼ってみるのも効果的です。
その楽しそうな姿や、少しだけ頼られている感じが、お子様の心を動かすきっかけになります。

方法1:座りっぱなしの体をほぐす「集中力UP親子ストレッチ

「ずっと座ってると体固まるよね。5分だけ一緒にやらない? 頭もスッキリするらしいよ」
そんな風に、あなたから気軽に声をかけてみてください。

集中力UPストレッチ

  • 首と肩のストレッチ
    ゆっくりと首を右に倒し、右の耳を肩に近づけます。左の首筋が気持ちよく伸びるのを感じながら5秒キープ。反対側も同様に行います。次に、両肩を耳にぐーっと引き上げ、ストンと一気に力を抜きます。これを3回繰り返しましょう。
  • 背中と腰のストレッチ
    両手を前で組み、おへそを覗き込むように背中を丸めます。腕を遠くに伸ばすイメージで10秒キープ。今度は、両手を腰に当てて、胸を開くようにゆっくりと背中を反らし、5秒キープします。
  • 体の側面のストレッチ
    右腕を真上に上げ、左手でその右手首を持ちます。体をゆっくりと左に倒し、右の脇腹が伸びるのを感じながら10秒キープ。腕を入れ替えて、反対側も同様に行います。

方法2:運動の気分じゃない?そんな日のためのリフレッシュ術

お子様の気分や性格に合わせて、こんなリフレッシュもおすすめです。

リフレッシュ術3選

  • 好きな音楽で、気分を切り替える
    「この1曲だけ!」と決めてお気に入りの曲をかけ、一緒に口ずさむだけでも、脳への刺激が切り替わり、ポジティブな気持ちになれます。
  • 窓辺の深呼吸で、思考をクリアに
    ベランダや窓辺に行き、3分だけ一緒に外の空気を吸って遠くを眺めてみましょう。「空がきれいだね」といった他愛ない会話が、狭くなった視野を広げてくれます。
  • 簡単な遊びで、自然な笑顔を引き出す
    柔らかいボールでのキャッチボールや、風船ラリーなど、思わず笑みがこぼれるような簡単な遊びも効果的です。「笑い」は心と体の緊張をほぐす、最高の良薬です。

大切なのは「気分転換をすること」。選択肢をいくつか持っておくと、お子さんの気分も乗りやすくなりますよ。

方法3:本番で実力を出し切るための「腹式呼吸法」

入試本番で一番心配なのは、過度な緊張で実力が出し切れないことですよね。
そんな時、お子さんが落ち着いて試験を受けることができるための方法が「腹式呼吸」です。

意識的に深い呼吸を行い、脳に十分な酸素を送ることが、実力を最大限に発揮することに繋がります。
日ごろから行っておけば、いざという時にお子さんが自分で心を落ち着けるための、とても心強い方法になります。

腹式呼吸のやり方

  • 準備:姿勢を正す
    椅子に座ったまま、背筋を軽く伸ばします。お腹に手を当てると、動きが分かりやすくなります。
  • 息を吐ききる
    まず、口から「ふーっ」と音を立てるように、お腹がへこむのを感じながら、体の中の空気をすべて吐ききります。「息を吐ききると、体の力が抜けてリラックスできるよ」と伝えてあげましょう。
  • 鼻から吸う
    お腹を風船のように膨らませるイメージで、鼻から4秒かけてゆっくりと息を吸い込みます。「脳に新鮮な酸素を送るイメージで」と伝えると、お子様も目的を意識しやすくなります。
  • 口から吐く
    今度は、吸った時の倍、8秒くらいかけて、口から細く長く、ゆっくりと息を吐ききります。お腹がだんだんへこんでいくのを感じましょう。

この呼吸を試験前の休み時間に3回ほど繰り返すだけで、驚くほど心が落ち着きます。

「腹式呼吸って、なんだか難しそう…」

もし、あなたやお子様がそう感じたら、まったく問題ありません。大丈夫です。
その場合は、まず「いつもよりゆっくり、深く息をする」だけの簡単な深呼吸から始めてみてください。

ポイントは「吸う時間より、吐く時間を少しだけ長くする」こと。
それだけでも、浅くなった呼吸がリセットされ、脳に新鮮な酸素が届きます。
慣れてきたら、少しだけお腹の動きを意識してみる。そんな風にステップアップしていくのも良いでしょう。


まとめ:親のサポートが子どもの底力を引き出す

中学受験という長い道のり、一番大変なのはお子様ご本人ですが、すぐ隣で支えるあなたも本当に大変な毎日をお過ごしのことと思います。
勉強のスケジュール管理も大切ですが、こうした心と体のケアをさりげなくしてあげられるのは、一番近くにいるあなただからこそできる、かけがえのないサポートです。

「勉強しなさい」ではなく、「ちょっと休憩しない?」。

あなたのその優しい声かけが、お子様の心と体をほぐし、何よりの安心材料となります。
そして何より忘れないでほしいのは、あなた自身の心と体のケアです

あなたがリラックスして笑顔でいること、それ自体が、お子様にとって最高の「安心できる環境」なのです。
その安心感が、入試本番での底力に繋がります。

ぜひ、今日からこの「5分間のリフレッシュ術」を、親子の新しい習慣にしてみてください。
その小さな積み重ねが、お子様の笑顔を増やし、合格へと続く道を明るく照らしてくれるはずです。