- 塾に通わせているのに、思うように成績が伸びない…
- 宿題も頑張っているはずなのに、なぜかテストの点数に結びつかない…
お子さんの頑張りを一番近くで見ているからこそ、結果が出ない状況は本当にお辛いですよね。「うちの子のやり方が悪い?」「家庭学習のサポートが足りない?」と、出口の見えないトンネルの中にいるような不安を感じていらっしゃるかもしれません。
これまで多くのご家庭をサポートしてきましたが、これは非常によくあるお悩みです。そして、その原因は、お子さんの能力ややる気の問題ではなく、ご家庭での学習に潜む「3つの見過ごされがちな落とし穴」にあるケースがほとんどです。
この記事では、私の受験経験と数々の指導経験から導き出した、成績が伸び悩む根本原因を徹底分析します。
単なる精神論ではなく、明日からすぐに実践できる具体的な対処法まで踏み込んでお話ししますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事で分かること
- 塾に通っても成績が上がらない、家庭学習の3つの「落とし穴」
- 他の専門家があまり語らない、塾のカリキュラムが引き起こす「弊害」
- お子さんの「やったつもり」を防ぎ、本物の学力を育む親の関わり方
成績が伸びない原因①:危険な「塾任せ」とカリキュラムの罠
「大手塾だから安心」「塾の言う通りにやれば大丈夫」という考えは、実は最も危険な落とし穴の入り口です。もちろん塾は受験のプロですが、その仕組みを正しく理解しないと、お子さんの努力が空回りしてしまいます。
塾のカリキュラムは「最大公約数」でしかない
まず大前提として、集団塾のカリキュラムは、あくまで所属する多くの生徒に向けた「最大公約数」です。あなたのお子さん一人ひとりの学力や課題に100%最適化されたものではありません。
ここに「塾任せ」の大きな原因になっています。
- 思考停止の習慣化: 「宿題だから」という理由だけで、深く考えずに課題をこなす作業になりがち。なぜこの問題を解くのか、という目的意識が欠落します。
- 誤った成功体験: 簡単すぎる問題を解いて「できた!」と満足してしまう。しかし、それは本当の実力がついたわけではなく、「作業をこなせた」という達成感に過ぎません。この“偽りの成功体験”は、本当に向き合うべき課題から目を背けさせる原因になります。
言われたことをこなすだけでは、学力は伸びません。むしろ、自分で学習計画を立て、課題を発見する能力が育たなくなってしまいます。
【コンサルタントの視点】塾の宿題は「3種類」に分類しよう
では、どうすればいいのか。私がご家庭にお勧めしているのは、塾の宿題をあなたが仕分けることです。具体的には、以下の3つに分類してみてください。
- A:マスト(必ずやるべき問題): その週の単元の根幹となる基本問題・例題。これができないと次へ進めない、最重要課題。
- B:チャレンジ(余力があればやる問題): 基本が定着した上で取り組むべき応用・発展問題。
- C:スキップ(今はやらなくていい問題): 簡単すぎる復習問題や、現状では歯が立たない難問。
お子さんの学習状況を見て、「今週はAに集中しよう」「Aは完璧だからBを2〜3問やってみよう」「Cはテスト前にもう一度見直すから、今は飛ばそう」と交通整理をしてあげるのです。これが、塾のカリキュラムを最大限に活用し、お子さんの貴重な時間を守るための第一歩です。
成績が伸びない原因②:小学生は「正しい勉強のやり方」を知らない
「宿題やったの?」と聞くと「やったよ」と返事がくる。
しかし、テストの結果は散々…。
このすれ違いの背景には、子どもと大人の「勉強」に対する認識のズレという、二つ目の落とし穴があります。
あなたのお子さん、「やったつもり」になっていませんか?
小学生にとっての「勉強した」は、多くの場合、以下の状態を指します。
- 問題を一通り解く
- 丸付けをする
- 間違えた問題の答えを赤ペンで写す
これで「終わり」です。彼らにとって、これは真面目に取り組んだ結果なのです。
しかし、これでは知識は定着しません。学力が伸びる「正しい勉強」とは、「なぜ間違えたのか原因を分析し、解き方を理解し、自力で解き直せるようになる」プロセスそのものです。
この“勉強の作法”は、誰かが具体的に教え、習慣化するまで伴走してあげなければ、小学生が独力で身につけるのは至難の業です。
「勉強しなさい!」から「こうやってみようか?」への転換
「勉強は自分で考えてやるもの」という理想は一旦忘れましょう。
特に中学受験は、小学生のキャパシティをはるかに超える情報量と向き合う戦いです。
誰かのサポートなくして乗り越えるのは不可能です。
私自身の中学受験時代も、
- 「今日はこの問題集のP10〜15をやる」
- 「この問題がわからなかったから、明日先生にこう質問してきなさい」
と、タスク管理から質問内容まで、母が徹底的にサポートしてくれました。
私の成績が劇的に上がったのは、母が「勉強のやり方」そのものをマネジメントしてくれたからです。
「勉強しなさい」という指示は、やり方を知らない子に「とにかく走れ」と言っているのと同じです。
「どうして間違えたか一緒に見てみよう」「この解説、どの部分がわからない?」と、思考のプロセスに寄り添い、正しい学習サイクルを回す手伝いをしてあげること。これこそが、あなたにしかできない、最も価値のあるサポートなのです。
成績が伸びない最大の原因③:「基礎が甘い」まま応用問題に進んでいる
これまで2つの原因を挙げましたが、成績が伸びない決定的な理由がこれです。
それは、「基礎が不完全なまま、塾のカリキュラムに流されて応用問題に手を出してしまっている」という事実です。
偏差値50の壁を越えられない子の共通点
「うちの子は応用力がなくて…」というご相談は後を絶ちません。
しかし、そういうお子さんの学習内容を詳しく分析すると、9割以上が「そもそも基礎が固まっていない」という結論に至ります。
塾は毎週新しい単元に進みます。
子どもたちはそのスピードについていくのに必死で、一度習った単元の復習、特に基礎の反復練習が圧倒的に不足します。
この状態で応用問題に手を出しても、解けるはずがありません。
土台がグラグラのまま家を建てようとしているのと同じです。
これが、真面目に勉強しているのに偏差値50の壁をなかなか越えられない子の典型的なパターンです。
プロが断言する「基礎が身についた」の本当の基準
では、「基礎が身についた」とは、どのレベルを指すのでしょうか。
テキストの基本問題が解けること?いいえ、それでは不十分です。
私が考える「基礎が身についた」の絶対基準は、
「基本問題を読み終えた瞬間に、考えることなく解法が思い浮かび、手が動き出す状態」です。
算数で言えば、問題文を読んだ瞬間に「あ、つるかめ算だ」「面積図を描けば一発だな」と、解法のパターンと手順が自動的に再生されるレベル。ここまで到達して初めて、「基礎が定着した」と言えるのです。
難しい問題を解けるようになる必要はありません。
まずは、使用しているテキストの基本問題を、「見た瞬間に、スラスラ解ける」まで徹底的に繰り返してください。
この地道な反復こそが、応用力への唯一の道であり、成績を飛躍させる最も確実な方法なのです。
まとめ:お子さんの成績を伸ばすために、親がすべきこと
もし今、お子さんの成績が伸び悩み、ご家庭の空気が重くなっているのなら、ぜひ今日から以下の3つを実践してみてください。
- あなたが「学習の司令塔」になる: 塾の宿題を鵜呑みにせず、お子さんの現状に合わせて「やるべきこと」を取捨選択する。
- 勉強ではなく「勉強のやり方」を教える: 「やったつもり」を防ぎ、正しい学習サイクル(理解→解き直し→定着)を一緒に回してあげる。
- 「基礎の瞬殺レベル」を目標にする: 応用問題に焦らず、まずは基本問題の完璧な定着を最優先する。
「中学受験は親の受験」とは、親が問題を解けるようになることではありません。
お子さんが迷いなく、効率的に学習を進められるよう、最高の学習マネージャーになることだと私は考えています。
この記事が、あなたの不安を希望に変える一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
もし、「うちの子に合った宿題の分類法がわからない」「具体的な学習計画の立て方を相談したい」など、よりパーソナルなサポートが必要だと感じた際には、決して一人で抱え込まず、いつでもお気軽に声をかけてくださいね。